交通事故治療の基本的な流れ
ここでは交通事故治療の基本的な流れを把握しておきましょう。
ケガをしたらまず病院へ行くのは当然のことです。日常生活を事故前と同じように過ごせるようになるまで治療は終わりません。
交通事故の場合は、「急激な強い衝撃によるケガ」がほとんどです。
骨折であったり、跳ねられて壁やガードレールなどにぶつかって何針も縫うような裂傷だったり、
追突事故の場合はもっとも多いむち打ち症などがまず想定されます。
救急車で運ばれるような大ケガの場合は、プロフェッショナルである救急隊員が応急手当てをし、
適切な病院へ運ばれ、適切な科で治療が始まります。
そのような緊急時以外、自力で行く場合は、最初の受診には整形外科がお勧めです。
というのは、レントゲンやMRIの検査ができるのが接骨院や整骨院ではなく、整形外科なのです。
レントゲン等の画像では、骨に異常があるかどうかを確実に即、知ることができます。
接骨院で早く治療を始めるためには画像での診断が最も確実です。
また、その画像などの検査結果は、「後遺症判断」の有力な資料となります。
今後「後遺症」についてもしっかりと治療費用を請求しなければならない場合がありますから、
画像診断の資料がある場合は保管しておきましょう。
もっとも、レントゲンに写るのは「骨」の部分のみで、軟体組織である「靭帯・筋肉」は写りません。
骨に異常があるか、折れていないか、ヒビが入ってないかは判断できても、筋肉の異常は診断されないのです。
むち打ち症であった場合にはさらなる検査が別に必要ということも頭に入れておいてください。
その際、医師の「診断書」を発行してもらいます。
整形外科では、骨などの異常が見られなく、症状が表面化していない場合は、治療の必要がないと判断されることがあります。
むち打ち症など、後遺症の疑いがある場合は、整骨院などに転院して、後遺症治療を続ける必要があります。
病院から整骨院へ転院する場合は、(むち打ち 頚椎捻挫、その他打撲・捻挫・挫傷の時は)特に病院の許可は必要ありませんが、
「整骨院に通院したいので」と申し出ておいて良いでしょう。
その際、保険会社へも、通院する整骨院を決めてから「いつから、○○整骨院に通院します」と報告すれば大丈夫です。
整骨院の通院では、病院同様窓口の支払いの必要はありません。(院から保険会社に直接請求するシステムです。)
整骨院の初診の際は、先の病院で受けた「診断書」と保険会社の連絡先・担当者名のメモを持参すると手続きがスムーズです。
さて、治療の際の注意として「自己判断」をしないということです。
自覚症状が出なくなると「もう大丈夫」と自分で判断をし、通院をやめてしまう方もいますが、これは大変危険なことです。
医療機関を信頼し、治療は専門に任せるべきという意識を身につけておくのも大事なことです。
そして、事故当時の状況や今の身体の症状、ちょっとした体調の変化(頭痛や肩こりがひどくなった)など、すべて相談するようにしましょう。
自分では、気がつかないことでも、事故の後遺症と関係している可能性は大です。
また、仕事や家事が忙しさを理由に、治療を後回しにしてはいけません。
慰謝料や損害に関わる賠償額は、トータルの期間でなく通院日数で算定されます。
痛みを我慢して、通院を制限することは決して自身の得になるものではありません。
交通事故により受けた身体へのダメージは、その後も一生残る可能性があります。
今は、痛めた身体を治すことを最優先に、一日も早く健やかな状態に整えることを心がけてください。